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宮澤賢治の投稿詩(!)「あまの川」(『新潮日本文学アルバム 宮沢賢治』)


令和元年の文月(ふみつき)に
宮澤賢治の友人、保阪嘉内に代わってsnowdropが綴った一通の手紙。
すべてフィクションです。

Here is my original letter written for Kanai to Kenji.

(氷室神社,2015年)

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ああ、やっと会へたねえ。
浄土の睡蓮の池のほとりで、君と会へた日のことを忘れない。
天の川のほとりの牽牛星と織女星のやうだった二人。
君は三十七、俺は四十。たがひに早すぎる死ではあった。
けれど、それでよかったのかもしれない。
俺はともかく、君の繊細なたましひは
あの野蛮な戦争の時代には耐えられなかったらう。

It was finally nice to meet you again by the lake of Nymphaea Paradis !
I never forget that day when we were like Altair and Vega.
You died at the age of 37, I at 40, we came here too soon.
But that might be good for you, because
your sensitive soul should have not survive that brute period of the war.


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賢治の名にふれぬように斜線の引かれた嘉内の日記(文月十八日)


君と現世で最後に面会したのは、大正十年の文月だった。
梅雨は明けていたんだらうか。蒸し暑い日だった。
我らは北の人間だから、暑くなり始めた時季が一番こたへる。
あの日は、本当にこたへたよ。体ぢゃない。心がさ。
記憶から消してしまいたいくらいに。
でも、君の存在は消したくなかった。消してはならなかった。
俺のたましひの中から。

It was in July 1921 that we met last on the earth, on a soggy day.
That day, I was KO, not physically but mentally.
So KO that I want to cross that day out from my memory.
But I did NOT want to cross your name out from my soul.


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君からの文(ふみ)は長年大切にとってあった。
俺の死の床の枕辺にきちんと並べてゐたんだよ。
並べて…さう、大切にしてゐたのは君からの手紙だけぢゃなかった。
他に二人、だいじな友達がゐた。
こう綴ってゐて、君が寂しさうに眼をそらすのが見えるやうだ。
俺は謝らないよ。君を、唯一無二の友とはしなかったことを。

I had kept your letters for years,
which were lined near my pillow of deathbed,
with other two friends'…you know, not only yours.
I had other two close friends.
I do not deny. You were not my only bosom friend.


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みんなで上演したあの芝居は楽しかったなあ。
君の演じたダークネス神(全智の神)、俺の演じたアグニ神(全能の神)。
赤と黒の名コンビだったらう?
面倒見のいい寮長だった君の顔に墨を塗って悪かったよ。(笑)
赤づくめの俺をみて、君は、なんだかアスラ(阿修羅)に似てると呟いたね。
アグニはインド神話の火の神。阿修羅もインドの神、戦ふくれなゐの神だから。
後年の君の詩集、『春と修羅』にはぶっ飛んだよ。
君は「修羅」と化したのか…
君は、ひょっとして、俺になりたかったのか?! 

The Agony of the Man that we all played was exciting!
Your Darkness and my Agni were a good combination!
(Le Rouge et le Noir !)
You said my Agni reminded you of Asura.
Both Agni and Ashura were Indian gods, red fighters.
Later, your anthology, Spring and Shura amazed me !!!
You became Shura?
Perhaps you wanted to become me?


「阿修羅 鎌倉時代」の画像検索結果

興福寺阿修羅像*Ashura

なんだか君は阿修羅像に似てゐる。
こんな風に眉根を寄せて、俺を見つめたね。
こんな風に悲しい目で、瀕死のトシさんを見つめたのか。
いや、もっと暗い目で、口元をゆがめて、苦しげに
雨雪のなかを走ったんだらう。
妹のために。後年には、農村の人々のために。馬鹿な !
妹のみならず世界中の人間の苦しみまでその肩で荷ふ奴があるか!!
エス様ぢゃあるまいし!

You are like the above statue Ashura.
You stared at me like that.
Did you stare at your dying sister, Toshi like that ?
No, you must have run in the rain and snow with darker eyes.
For your sister, later, for the people of farm villages. You fool!
Why did you try to carry the agony not only of your sister but of all the people!
Your are not Jesus Christ!


「イエス 十字架を運ぶキリスト 」の画像検索結果「パールバック 大津波」の画像検索結果

十字架を運ぶキリストと、顔を拭うヴェロニカ (左) 
パール・バック『大津波』(1947年)(右) (google search)



農業や漁業ほど自然の恵みを受け、自然に苦しめられる仕事はない。
君が生まれた年には、明治の三陸大津波が
君が死んだ年には、昭和の三陸大津波が人々を襲った。
そして、ああ、誰が想像したらう。
21世紀に平成の大津波が、コンクリートの巨大な壁を軽々と越えるなんて!
貞観(9世紀)以来の大地震が農村を、漁村を、東北を襲ふなんて!

The agriculture and fishery is directly infulenced by Nature.
In the year when you were born and in the year when you were dead,
the Big Wave Tsunami struck Sanriku Coast in the Tohoku region.
And in 2011, that Tsunami came to Tohoku again !!




「京都国立博物館 神護寺薬師」の画像検索結果
神護寺薬師如来像(pinterest)
「貞観」と聞いて真っ先に頭に浮かんだ貞観仏


そういへば、関東大震災が起きたのは、妹トシさんが亡くなった翌年だった。
たった一人の最愛の妹の死と、未曾有の数の見知らぬ人々の死とが重なった。
妹の魂を追いいかけてオホーツクへ、樺太へ旅をし、空しく帰ったばかりの
君の心はどんなだったらう。

It was the following year of your sister's death
that the Great Kanto earthquake happende in 1923.
The death of your beloved only sister and the death of numerous people crossed.
How did you feel soon after you had come home from the journey to the north
for your sister's soul in vain ?!


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オホーツクのカモメ(2014年)



旅といへば、君はシューベルトにも似てゐるよ。
我らが生きてゐた頃はベートーヴェンがどんどん入ってきていたけれど…
ベートーヴェンに憧れて、ベートーヴェンを超えようと苦闘した
繊細で力強い作曲家がゐたんだ。
ベートーヴェンの作曲技法を口真似するやうなピアノ・ソナタを作って
歌曲はさらにどっさり作った。旅人の歌も!「美しい水車屋の娘」それに
「冬の旅」のレコードが手に入ったら、君はきっと夢中になったらう。
「リンデンバウム(菩提樹)」を口ずさみながら歩く君が見えるやうだ。

As for the journey, you resemble to Shubert, too.
It was Beethoven whose music was imported while we lived,
but there was a composer who loved and tried to get over him.
His sensitive and dynamic music must be your liking.
He composed many piano sonatas as if he had imitated Beethoven's idiom
and much more Lied including those of a young traveler.
Die Schöne Müllerin ! Winterreise !
Lindenbaum that Hans Castorp loved !

「schubert freund」の画像検索結果

シューベルティアーデ(Schubertiade)と呼ばれた集い(wikipedia)

彼と、彼のピアノはいつも友垣に囲まれてゐたけれど、
たましひはいつも孤独で
31歳で急逝してしまった。
我らが生きてゐるうちに、いっしょに聴きたかったな。
シューベルトの音楽はベートーヴェンの音楽とはならず、
ベートーヴェンとは違ふ高みへのぼって行ったよ…
俺にはならなかった君のやうに。
話が長くなっちまった。冬の七夕の話は次回にまわそう。

Though Shubert and his piano were always surrounded by his friends
his soul were always isolated even in Shubertiade
and died a sudden death at the age of thirty-one.
I wish we had been able to listen to his various music together.
Shubert's music did not become Beethoven's
and went up to his own height.
Just like you who did not become me.




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(2018年)


ベトちやんとシユバちやんもめぐり逢へたかな空の彼方の花のみ苑で
did they
,Beethoven and Shubert,
meet in Heaven
between two gardens
of tulip and of lotus ?



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モネの水の庭*太鼓橋で寄り添う二人

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モネの花の庭(ジヴェルニー、2004年)


おまけ*Bonus

「聖おにいさん」(NHKドラマ、原作は中村光の漫画)によれば
天国と極楽はディズニーとディズニーシーみたいなものだとか。
モネの「花の庭」と「水の庭」みたいなものでしょうか?↑
ちなみに、「天国の門」はフィレンツェにあります(1999年)↓


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聖おにいさんに出てくる「天国の門」(全体図)。チラシもどうぞ。(Eテレ)↓

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さらなる追記*João Gilberto in NIKKEI(July 9th)

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(All Rights Reserved)







いきなり、おまけ ☆彡 テーマの写真はこの1枚(2015年)だけです

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そうめんサラダ、たなばたイブ風

七月の六日がサラダ記念日ならオクラの星のサラダはいかが?


なれそめは短歌。二人は春信など浮世絵も好みました。明日は七夕…

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鈴木春信「七夕美人」(『Ukiyoe』京都国立博物館)
Beauty at the Star Festival by SUZUKI Harunobu (18c.)


賢治が親友、嘉内と出会ったのは大正五年、盛岡農林高等学校の寮でした。
二人を急速に近づけたのは、トルストイ、そして石川啄木!
『一握の砂』や『悲しき玩具』が若者の心を鷲づかみにしていた大正時代。
(バブル期の俵万智ブームに近かったかも?あっ、今日はサラダ記念日!)
二人はかつて啄木がもたれた盛岡中学のバルコンに佇むこともありました。
嘉内の書いたものに出てくる「気圏」「電信柱」といった単語は
のちに賢治のボキャブラリーの中心となってゆきます。

Kenji and Kanai met for the first time in 1916
at Iwate Prefectural Morioka Agricultural High School.
Tolstoi and ISHIKAWA Takuboku, their superior tanka poet
quickly connected two boys.
Takuboku's A Handful of Sand and Sad Toy
were favorite anthologies of the young people at that time.
Kanai also liked writing.
Some of his poem-vocabulary (e.g. telegraph pole)
is to be shared with Kenji.


「月夜のでんしんばしら 嘉内 賢治」の画像検索結果「月夜のでんしんばしら 嘉内 賢治」の画像検索結果
(google search)
盛岡へ来る前の嘉内が描いた電信柱(右)illustration by Kanai (right)
賢治が描いた「月夜のでんしんばしら」(左)idem by Kenji (left)

They composed tanka on the telegraph pole in Azalea (nos.3,5 in 1917-8).



二人はツーカー短歌(?)の仲でした。大正6-7年の文芸同人誌から。

落ちかかるそらのしたとて電信のはしらよりそふ青山のせな 賢治(「アザリア」第3号)

雪の夜の電信バシラのおののきにふるひて吠える犬がありたり 嘉内(「アザリア」第5号)
「天勝一座 サロメ」の画像検索結果
Salome in the Taisho period(google search)

嘉内は学生離れした演劇通でした。天勝一座の「サロメ」も観ていたとか。
嘉内が中心になって上演された創作劇は、賢治に大きな影響を与えました。
のちに農学校の先生になり、自作の劇を教え子に演じさせたりしたのは
このときの体験が原点になっているのでしょう。

Kanai was well informed in the play and theatre.
He saw even Salome performed in the Taisho period.
His original play Agony of the Man had an impact on Kenji,
who also composed his original plays
and made his students play them in after years.

「阿修羅 鎌倉時代」の画像検索結果
興福寺阿修羅像(pinterest)

また、嘉内の劇中に出てきた「修羅の世界」の「修羅」は
賢治の処女詩集『春と修羅』につながってゆきます。
「修羅」は仏教用語としては珍しい単語ではありませんが、
嘉内と出会う前の賢治の書いたものには見当たらないといいます。
親しい人の言葉遣いや語彙をまねると、その人の声が体内に宿ったかのような
幸福な錯覚を覚えるものです。賢治もしばし酩酊感を味わったのかもしれません。

Kanai's expression "the realm of Shura (fighters) " led to
Kenji's first anthology, Spring and Shura.
"Shura" is a common term in Buddhism, but
it was after their encounter that Kenji used it.
Imitating a friend's vocabulary gives you a happy illusion
that the friend's voice inhabits in your own body.
Kenji also might have enjoyed this illusion for a while.

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賢治が嘉内のボキャブラリーを自分の作品に取り込んでいったのは
嘉内と一体化したかったからとも考えられます。たとえば
このベートーヴェンをまねた写真からは、なりきり願望が見て取れます。
(むかし snowdropも、ベートーヴェンの小道でなりきりましたっけ…)

The above photo of Kenji imitating Beethoven
shows that he was a person of impersonating desire.
Young snowdrop also imitated them in Heiligenstadt !


「beethoven promenade」の画像検索結果

Beethoven, Heirigenstadt (google search)


大正10年に嘉内と別れてから、賢治は幾度か一人旅をしています。
大正14年の目的地は青森の陸中海岸。
学生時代に嘉内とふたり銀河を眺めた思い出を胸に、
冬の明け方、ケンタウルス座と土星を同時に見るために…
ケンタウルス座は賢治、土星は嘉内を象徴しているとされます。
それは「冬の七夕」ともいうべき短くも貴重なひとときでした。

After their separation in 1921, Kenji traveled alone several times.
On January 6th in 1925, he went to Rikuchu Coast to see the dawn sky
to recognize the Centaurus and Saturn at the same time.
It was a short and precious time compared to the winter star festival.
While Centaurus is said to be a symbol of Kenji, Saturn Kanai.
Kenji must have remembered the night sky
which he looked up with Kanai in their school days.


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ケンタウルス座(『宮澤賢治 星の図譜』)

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賢治に代はりてsnowdropの詠める

どこまでもいつしよに行かうといつたのに土星は融けつ朝明(あさけ)の空に

Though we said
we will go together anywhere,
Saturn (Κρόνος)
disappeared
in the dawn sky


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農学校教師や羅須地人協会設立者として精力的に活動した賢治が、
嘉内を意識していたことは明らかです。
じつは賢治は嘉内にこんな手紙を出していました。
「しきりに書いて居ります。学校で文芸を主張して居りまする。
芝居やをどりを主張して居りまする」
照れくさそうな、誇らしげな、賢治の笑顔が見えるようです。
あと一歩、勇気を出して、再会できていればよかったのにね。

Kenji must have been conscious of Kanai
while working as a teacher of an agricultural school and
the founder of Rasu-Chijin Society (private school).
Kenji wrote to Kanai as follows:
"I always write. I insist on the literature at school.
I insist on the play and dance."
This letter makes me imagine Kenji's shy and proud smile.
I wish he could summoned up his courage to meet Kanai again.


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謎めいた『春と修羅』は嘉内への暗号を秘めた詩集だったのでしょうか。
嘉内に読んでもらいたい、嘉内にさえ分かってもらえればいい。
同人誌『アザリア』の集いのなかで
「電信柱」や「修羅」を、二人だけの暗号のように共有していた嘉内に…
君ならば、君だけは、分かってくれるだろう。この修羅の涙を!
賢治の声にならぬ叫びが聞こえるようです。

次回はおせっかいなsnowdropが、賢治のために嘉内の手紙を代筆します。

A mysterious anthology Spring and Shura included a code ?
Kenji wanted to make only Kanai read and understand it ?
the friend who had shared Shura, telegraph pole, etc. with him
like their code in Azalea
You, only YOU understand these tears of Shura, my darkness !
I imagine Kenji's cry without voice.
I will write a letter for Kenji adressed to Kanai...


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『新潮日本文学アルバム宮沢賢治』より



賢治(右)が嘉内(左)へ宛てた絵葉書(上)。和訳すると…
「ここに松の木を描いておくよ。君が思い浮かべやすいようにね」

A postcard Kenji wrote to Kanai in English and Japanese.


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「アザリア」とはツツジ(サツキ)のことです。
学校の植物園に咲いていたアザレアは何色だったのでしょう。

Which colours of azalea were in bloom in the botanical garden in their school ?

(All Rights Reserved)











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氷室神社の睡蓮(2015年)
NHK「宮沢賢治 銀河への旅」(録画写真)(以下同)


睡蓮の挿絵入り、欄外左に明星派の短歌が印刷された日記帳…
日付は大正十年七月十八日。
「宮澤賢治面会来」とのみ記され、斜線が引かれています。
これを書いたのは
保阪嘉内。
宮澤賢治の学友であった人です。

A diary with an illustration of water lilies
dated of the eighteenth July 1921.
Written only "MIYAZAWA Kenji came to meet me.",
which is crossed out with two diagonal lines.
The owner of this diary is a schoolmate of Kenji,
HOSAKA Kanai

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奥が賢治、手前が嘉内(大正5年)
Kenji (back) and Kanai (front) (1916)


盛岡農林高等学校の同人誌『アザリア』で文筆をふるい
社会人になってからは農村改良運動に打ち込みました。
まるでもう一人の賢治のような。
けれども、この日記が書かれた日、二人の友情は破綻し
じかに再会することは生涯ありませんでした。

He would contribute his essays and tanka
to their literary coterie magazine Azalea
and devoted his life to a movement to improve rural areas.
Like another Kenji ?!
But on the above day their friendship broke up
and they did not meet again.


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大正五年に学校の植物園で撮られた写真を見ると、
手前に寝そべる嘉内がリーダー格であった事がうかがえます。
じじつ、彼が脚本を書いた創作劇「人間のもだえ」の配役は
主役のアグニ神(全能の神)が嘉内、
準主役のダークネス神(全智の神)が賢治でした。
自分を主役にした脚本を手がけるとは、嘉内はかなりの自信家ですね!
賢治はこの才気あふれる友人から大きな影響を受けました。
『アザリア』での筆禍事件で友が退学してからも文通を続けました。

This photo shows Kanai (front) was a leader of the coterie.
In fact, in his original play Agony of the Man,
he himself played the hero Aguni God and
his best friend Kenji played Darkness God.
Kanai must have been a confident boy!
Kenji was influenced by this talented friend.
After Kanai left school, they continued correspondence.


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菅原千恵子『宮沢賢治の青春』によれば、
二人の仲が決裂したのは
賢治が嘉内を日蓮宗に入信させようとして果たせなかったからのようです。
学生時代の嘉内は、どちらかというとキリスト教に心を寄せていました。
思うに、
学生時代から、嘉内より賢治のテンションが常に少ぅし高かったのでは…
社会に出てからは体をこわし、実家の質屋を鬱々と手伝ったあげく
日蓮宗の団体に奉仕すべく上京するも、肩すかしを食らい…
そこへ久々に旧友にじかに会い、気持ちが爆発したのでしょう。
いまふうに言えば、嘉内が「ドン引き」したと想像されます。

According to The Youth of MIYAZAWA Kenji,
Kenji tried to make Kanai enter Nichiren school of Buddhism in vain
, which led to their parting.
Kanai in his school days was interested in Christianity.
Kenji was a little more ardent than Kanai, wasn't he ?
After graduation, he lost his health,
reluctantly helped his family business,
ran away from home to serve the communion of Nichiren school
but the activity there was not challenging for him…,
when he met again his old friend after a long separation
and his passion might have exploded.
Kanai might have been confused with Kenji's furious tone.


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けれどもこの日記を見ると、嘉内はけっして賢治を拒絶したのではないと思えます。
なによりまず、文学青年らしい日記帳のチョイスに目を見張りました。
ビアズリーふうの睡蓮のイラスト、短歌は与謝野鉄幹のものでしょうか。
思えば、あの創作劇のタイトル「人間のもだえ」は、鉄幹の一首をふまえています。
「われ男(を)の子 意気の子 名の子 つるぎの子 詩の子 恋の子 あゝもだえの子」(鉄幹)

But this page of Kanai's diary reveals that
he never refused his friend in his heart.
The delicate design of Kanai's diary shows
he was still a delicate lover of literature.
A printed tanka in the margine is by YOSANO (Tekkan or Akiko) .
The title of Kanai's play Agony of the Man had derived from
Tekkan's famous tanka as follows.
"I am a man, a man of spirit, a man of honor, a man of sword,
a man of poem, a man of love, ah! a man of agony! " (tr. by snowdrop)


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堺の植物園で(2015年)


軍隊に入営していても、嘉内は文学青年らしさを保っていたのでしょう。
あの日記の頁…
「宮澤賢治」の名前に掛からないように、すっと引かれた斜線からは
嘉内の繊細な優しさが感じられます。

Kanai should have kept his sensibility as a lover of literature.
Those diagonal lines never touched the name of MIYAZAWA Kenji,
which proves Kanai's delicate gentleness and friendship.



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おお、意気盛んな青年たちよ!旧制高校の寮の雰囲気が伝わってきます。
この気分は日本だけのものではありません。
たとえばドイツのトーマス・マンの『トニオ・クレーゲル』(1903年)。
主人公のトニオは、ギムナジウムの同級生に熱い友情を寄せるのです。
まるで『トーマの心臓』の世界!
恋にも似た強い友情は若い男性のみならず、女性間にもよく見られます。

Oh, ambitious boys !
This atmosphere was common to the schools at that time
not only in Japan but also in Europe.
For example, the hero of Tonio Kröger loves his friend in the gymnasium
like Kenji. This kind of friendship is often seen between girls also.



「トーマの心臓」の画像検索結果「大正 女性 友情」の画像検索結果

『トーマの心臓』(pinterest)(google search)
女子体育はじまりの時代?!’エス’なんて言葉も…


嘉内は己が人生の主役として生き、実人生でも人々の中心になる人でした。
賢治は嘉内にあこがれ、己の強烈な自我をさらに大きく開花させました。
二人はそれぞれ主役として、それぞれの道を歩み出すことになるのです。

Kanai lived as a hero of his own life and as a leader of people.
Kenji longed for Kanai and developed his own identity.
Both of them were to start their own lives as the hero respectively.



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堺の植物園で(2015年)

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加納洋品店(大正8年創業)


三月書房を訪ねて、風薫る五月の寺町通りへ。
飾り窓のロッキングチェアには、緑の布が掛かっています。

Voici Rue Teramachi au mois de mai, au mois du vert !


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金工品店の「月」という名の銀の一輪挿し。
うすべにの花は大和の撫子、それとも唐撫子(石竹)?
どちらもカーネーション(阿蘭陀石竹)の仲間です。

Un oeillet rose disposé dans un argenterie "La Lune" .


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もうすぐ母の日。。。

Au Japon, on offre des oeillets à sa mère
à la fête des mères, le 12 mai cette année.


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あなたのお母さまはイケる口?藤棚の下、冷酒をどうぞ♪

Votre mère aime à boire ?
Voici le sake froid et un photo des glycines ♪



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ボタン屋、エクランさんの店先にも紫陽花や金鎖の鉢が♪
今日もお客さんで賑わっています。また今度寄りましょう。

Des hortensia en pot à Écrin aussi.


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さすが風格ある店構え。虫籠窓(むしこまど)にブルーの海鼠壁(なまこかべ)。

Un magasin d' antiquités au machiya, un maison en bois typique de Kyoto.



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この町家にも虫籠窓。ポップな籠が吊るされています。

Des corbeilles et paniers devant un autre machiya.



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この飾り窓はフェアリー・テイル調。「フェアリーって、あたしのこと?連れてって!」

Une vitrine comme un conte de fées. Tu es une fée des hortensia?


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ごめんね。。。またいつかね。

Au revoir。。。

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小津夜景さんの本の装丁を思わせる飾り窓も、衣替えしました。
小津さんはかつてこの通りを歩き、今はフランスに住む俳人です。

Une vitrine comme des livres d' OZU Yakei ♪
Elle est une haiku-poète qui habite en France.


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(2018年撮影)

小津さんは5月25日に東京でトーク・イベントを開きます。
行けたらなあ。。。
「ほんものの中華菓子」って、なにかしらん。(^ڡ^)
( 国立の小鳥書房にて*「漢詩のおいしい暮らし方」→)

Elle donnera une séance de thé le 25 mai en Tokyo.


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この日、三月書房でもとめた本はこちら。
「未来」は ITS の先輩のおススメ、「塔」は店のご主人のおまけです。
青い栞は、むかし琵琶湖の見える所に住んでいた時期に見つけました。
大谷雅彦さんは高校時代に前登志夫に学んだ、近江の歌人です。


J' ai acheté ces livres à la librairie Sangatsu Shobo (pas de Fnac!).


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(2016年撮影)

三月書房で初めてもとめたのは『前 登志夫 全歌集』でした。
三十余年前、高校で講演を聞いたとき短歌を始めていれば… !


三年(みとせ)かけ前登志夫を読む 三十年(みそとせ)をうた詠まざるをくやしみながら

(I have been reading complete works of Mae Toshio for three years,
regretting these thirty years I have not made tanka.)(2017年 詠歌)



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(2016年撮影)

おまけ*Bonus

ブロ友さんから聞いていた小川洋子の小説、去年の暮れに文庫化されていたのですね!

Mon parachutiste, je suis entrée de nouveau un autre association des tanka-poètes.


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↑『琥珀のまたたき』が対談に出てきます。

2018-9年の本と1990年の本(林あまり「あなたの短歌」Moe)とを重ねてみました。

(All Rights Reserved)








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白川の水面(みなも)の光

 四天王寺の「弱法師」は有名ですが、聖書にも、盲目の乞食が登場します。
「一行はエリコの町に着いた。イエスが弟子たちや大勢の群衆と一緒に、エリコを出て行こうとされたとき、ティマイの子で、バルティマイという盲人の物乞いが道端に座っていた。ナザレのイエスだと聞くと、叫んで、『ダビデの子イエスよ、私を憐れんでください。』と言い始めた。多くの人々が叱りつけて黙らせようとしたが、彼はますます、『ダビデの子よ、わたしを憐れんでください』と叫び続けた。



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醍醐池の花筏

イエスは立ち止まって、『あの男を呼んで来なさい』と言われた。人々は盲人を呼んで言った。『安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ。』盲人は上着を脱ぎ捨て、躍り上がってイエスのところに来た。イエスは、『何をしてほしいのか』と言われた。盲人は、『先生、目が見えるようになりたいのです』と言った。そこで、イエスは言われた。『行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。』盲人は、すぐ見えるようになり、なお道を進まれるイエスに従った。」(新共同訳 マルコによる福音書10章46~52節)

There are blind beggars in the Bible as well as Yoroboshi in a Noh play. Only Bartimaeus' name is written in the Bible(Mark 10-46~52).

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奈良基督教会は宮大工による和風の教会です(2011年)


 新作能には、教会でパイプオルガンを使って上演されるものもあるそうです(「伽羅沙―細川ガラシャ―」など )。そんなお能のまねごとをしてみたくなりました。
 なお、地謡(ぢうたい)とはバック・コーラスです。ナレーションの代わりをしたり、群衆の声を表したり、登場人物の心の声を代弁したりします。

場景 エリコの町。舞台上に棕櫚の葉の作り物  (記事の終りの方にイメージ図版があります)
登場人物 イエス、バルティマイ、町の人(声のみ)

This noh play is to be performed in a church with a pipe organ. The scene setting is Jericho. On the upstage, an artificial palm tree surrounded with a curtain which hides Jesus. Bartimaeus is on the downstage.

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ドイツ、ウェルナー・ボッシュ社製のパイプオルガン


地謡  エルサレムへ、エルサレムへ上るイエスの一行は、ペレヤよりヨルダン川を渡りしのち、棕櫚の町エリコに着きにけり。

バルテマイ
 これは目の見えぬ物乞にて候。町の人々の情けにすがり、日々を過ごしてをり候。今日はなにやら町の空気の騒がしく、いつにも増してよそよそしく候。
地謡  ナザレのイエスがお発ちになる。おのおのかたがた、道をあけたまへ。ナザレのイエスのお通りなるぞ。

chorus   To Jerusalem, to Jerusalem, Jesus and his disciples left Pereya, passed the Jordan, and reached Jericho, the palm town Jericho.
Bartimaeus I am a blind beggar. I live off town people's kindness. Today it is more noisy than usual.
chorus   Jesus of Nazareth leaves this town. Everyone, make way for Jesus and his disciples ! Jesus of Nazareth leaves here!


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ヴェロニカ(犬殖栗)とダビデの星(花韮)(2018年)*Veronica and Star of David


バルテマイ ナザレのイエス?イスラエルの救ひ主と預言されたるダビデの子、イエスがこの町に? メシア(救い主)、イエスがわが町に? 棕櫚生ひ茂るわが町に?!

地謡  
ああ、盲ひの悲しさよ。何も知らずにこの一日(ひとひ)、空しき物乞ひに費やせり。

バルテマイ
 [大声で] ダビデの子、イエスよ。キリエ、エレイソン(主よ、われを憫みたまへ)!

Bartimaeus Jesus of Nazareth? Son of David has been here? Messiah Jesus IS in this town? In the palm town, in my town?!
chorus   Helas! What a miserable beggar! He knew nothing and wasted all day begging.
Bartimaeus Jesus, Son of David, Kyrie eleison [have mercy on me] !




J.S. バッハ「キリエ・エレイソン(主よ、あわれみたまえ)」


地謡   声高に叫びをるは誰(た)そ、聞き苦し。その乞食(こつじき)を黙らせよ。あな、見苦し。
バルテマイ
  いま叫ばねば、ダビデの子は去ってしまふ、永久に。われを憂き瀬に残したるまま。

地謡
  目の見えぬ男の世界は音ばかり。物乞を遠巻きにする音ばかり。たまに近づく足音あれど、その手に小銭を握らせて、そそくさと去る寂しさよ。ときに足音高ければ、手荒く追はるる悲しさよ。

バルテマイ [さらに大声で] キリエ、エレイソン!キリエ、エレイソン!(主よ、憫みたまへ!)

地謡  棕櫚の町エリコはむかしヨシュアらのラッパの音の力にて城壁崩れし町なりき。ヨシュアのラッパの音(ね)のごとく、バルティマイは叫びたり。



参考 ♪ ゴスペル「エリコの戦い」(The Battle of Jericho)

chorus   Who is crying so aloud? Noisy! Shut that beggar up! Ugly!
Bartimaeus If I do not call Him now, He will leave here forever. He will leave me in such harsh circumstances forever and ever!
chorus   The world of the blind man consists of only sounds. The sounds making a wide circle around the beggar. Even when faint footsteps approach, they soon leave after having given him a small coin. When loud footsteps, they always have driven him away.
Bartimaeus Kyrie eleison [have mercy on me] !! Kyrie eleison!!!
chorus   Jericho was the town whose wall fell down because of Joshua's army's trumpets. Bartimaeus' cry was loud like them.


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桜のトンネル 🌸 MIHO MUSEUM(4月中旬)


バルテマイ
 遠くよりわれの方へと迫る足音… 
町の人 心安かれ、起て。ナザレのイエスは汝を呼びたまふ。
バルテマイ おお、わが声は届きたり!ダビデの子へ、われをいざなふ、優しき声!!やれ、うれしや!!
地謡  バネ仕掛けの傀儡(くぐつ=人形)のごとく跳ね起きて、乞食(かたひ)はよろぼひ歩み出す。よろぼひ歩む足取りの、さながら踊るごとくなり。

Bartimaeus Footsteps are coming…!
townsman Be of good cheer. Rise, He is calling you.
Bartimaeus Oh, my voice has reached Him! A gentle voice inviting me to Son of David! How glad!
chorus   The beggar jumped up and began walking totteringly and dancingly for Jesus.


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[棕櫚の葉の作り物の引き回し(カーテン)が外され、イエスが現れる。バルティマイはイエスの方へ歩みつつ上着を脱ぎ捨てる]

バルテマイ
 [独り言つ] 乞食(かたひ)には、あはれ、捨つべき物すらなし。せめて上着を脱ぎ捨てん。
イエス わが汝に何を爲さんことを望むか

地謡
  あたたかき、深き御声よ。この声をいついつまでも聴いてゐたし!この声の主(ぬし)の姿を拝みたし!主(しゅ)を、わが師と拝みたし!

バルテマイ
 わが師よ、見えるやうになりたし。
イエス ゆけ、汝の信仰 汝を救へり。

[The curtain of the palm tree is removed to reveal Jesus. Bartimaeus walks to Jesus while throwing aside his garment.]

Bartimaeus [monologue] A poor beggar has nothing to abandon. I throw away at least my garment.
Jesus    What do you want Me to do for you?
chorus   (Bartimaeus' inner voice) How deep and warm voice! I want to hear this voice forever and ever! I want to see the owner of this voice! I want to worship my Rabboni, my Lord!!
Bartimaeus Rabboni, that I may receive my sight.
Jesus    Go your way; your faith has made you well.


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地謡  バルティマイは直ちに見ることを得たりけり。直ちに光を得たりけり。開きし眼(まなこ)にまづ映りしは主イエスのおん姿。つつましき旅の衣に身を包み、足は埃にまみれをり。双の目ばかりがきらきらと湖のごと輝けり。その湖に映りしは…
バルテマイ 澄みわたる湖(うみ)の瞳に映る吾(あ)をみまもりたまへ なまばたきそ 


chorus   Immediately Bartimaeus received his sight. Immediately he received the light. His pupils relfected Jesus. A man in simple traveling clothes, with dusty feet. Jesus' pupils were shining like lakes, which reflected Bartimaeus.
Bartimaeus please watch over me, / a man who is reflected / on your bright eyes / like clear lakes, / do not blink your eyes, please!


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水面の光 花筏(醍醐池)


地謡  救ひ主イエスの前に佇むバルティマイよ。もはや汝は盲ひにあらず。
町の人 何処(いづこ)へゆくも思ひのまま。何を為すも思ひのまま。
地謡  商ひに手を染めて、町で豊かに暮らすもよし。妻をめとり、家族とともに生きるもよし。画師となり、コクリコ紅く咲く野辺を画布に写し取るもよし。

chorus   Bartimaeus in front of Messiah Jesus, you are no longer a blind man.
townsman
 You can go anywhere. You can do anything.
chorus   You can learn business and live an abundant life in the town. You can marry and live with your own family. You can become a painter and sketch a red coquelicot field.


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白川

町の人 いざ、ゆけ。汝は自由なり。
地謡  いざ、ゆけ、とは何処(いづこ)へか?
バルテマイ わたしは主の目に選ばれてしまつた。
地謡  主の居はします所より他にゆくべき所はなし。主よ、わが手を取りたまへ。
バルテマイ ゆけ、わが心よ、主のもとへ。[イエスとバルティマイの相舞(=二人で一つの舞を舞う)]

Townsman  Go your way, you are free.
chorus Go my way? Where?
Bartimaeus His eyes have chosen me.
chorus    There is nowhere else to go but the places where Jesus is. O Lord, take my hand, please.
Bartimaeus My spirit, go to the Lord (τῷ κυρίῳ) ! [pas de deux of Jesus and Bartimaeus]


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藤原京

地謡  バルティマイはイエスに従ひて途を往けり。ヤコブ、ヨハネが漁網も父も置き去りたるごとく、無一物で、イエスのあとに従ひぬ。
 もはやエルサレムは近し。受難と復活の日は近し。
 棕櫚の葉を 振る人びとに 迎へられ 死と復活へ 到る道行 
 キリストの苦悩と光の道行につき従ひしバルティマイは、その名を聖書に残したり。ティマイの子、バルティマイといふ名をば初期教会史に刻みにけり。

chorus Bartimaeus followed Jesus on the road. Just like James and John who had left their nets, boat, and father, he followed Jesus, having nothing. Jerusalem is now near at hand. The days of Passion and Resurrection approach.
being greeted / by the people / waving palm branches, / He is to be / crucified and resurrected
Bartimaeus who followed Jesus left his name in the Bible. He left his name: Bartimaeus, the son of Timaeus in the history f early Christianity.



「作り物 能 大道具」の画像検索結果


棕櫚の葉の作り物(イメージ)(google search)


主を乗せたるロバもよろぼひ歩みけむ都大路の
棕櫚の葉を踏み  

(しゅを のせたる ろばも よろぼい あゆみけむ みやこおおじの しゅろの はを ふみ)


Jesus' ass also / walked totteringly, / stepping on palm leaves / on the streets / of Jerusalem City?


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この能をわが師、わが父母の師へ捧げます*I dedicate this noh play to our pastor.

(All Rights Reserved)





ノートル・ダム(パリ)のオルガンは無事でした*l' orgue sauvé

ゴスペル・イン・文楽~イエスの生涯と十字架(豊竹呂太夫ほか)















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正倉院に伝わる美(は)しき撥鏤(ばちる)の尺(ものさし)。
守田蔵さんによって復元された天平の尺などが展示されます。
会期は来週 4月23日(火)から 5月4日(土)まで
銀座へお越しのときは、ぜひお立ち寄りください。
詳しくは下記の地図等をクリックでご覧ください。

The bachiru(撥鏤 → )works made by MORITA Kura
will be exhibited in Ginza, Tokyo from April 23 to May 4.
(Fujiya Gallery)


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Invitation quoting the impression of Princess Akiko () who visited Mr. Morita's studio


撥鏤(ばちる)作家の守田蔵さんは
浄瑠璃寺のそばに工房「獅子窟」を構えておられます。
「獅子窟」(ししくつ)は吉井勇の短歌に由来するそうです。

酒にがく女みにくしこのごろは心しきりに獅子窟にゆく  吉井勇

(獅子窟寺は、 大阪府交野市にある高野山真言宗の寺院です)

MORITA Kura's studio "Lion Cave" is near Joruri-ji Temple.
The name "Lion Cave" derives from a tanka by Yoshii Isamu:
the sake tastes bitter and the women look ugly, recently,
my heart frequently wanders toward Lion Cave Temple
(tr. by snowdrop)


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浄瑠璃寺*Joruri-ji Temple(4月上旬)


「獅子窟」工房の向かいの浄瑠璃寺には、浄土式庭園があります。
「浄瑠璃」の「瑠璃」は東方の瑠璃光薬師浄土をあらわします。
祝い歌をお届けした日、浄瑠璃寺はさながら花の浄土でした。
山茱萸(サンシュユ)、馬酔木、桜、紫木蓮、三葉躑躅(ミツバツツジ)…

MORITA Kura's Lion Cave is located near Joruri-ji Temple,
which has a famous Pure Land garden.
On the day when I delivered congratulatory forms of tanka,
the garden looked like Pure Land itself.


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東の薬師仏をまつる三重塔


撥鏤尺に撥()ね彫りされし鳳凰を詠める


瑠璃光の天の果てより舞ひ降りし鳳はいま

獅子窟に棲む

(
るりこうの てんの はてより まいおりし おおとりは いま ししくつに すむ)



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瑠璃いろの空と山桜

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鳥の翼のような紫木蓮、染井吉野

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躑躅花むらさきに咲く弁天社 守るは獅子の家族(うから)なるらむ

(All Rights Reserved)







今朝、あふれる月の光に目覚めたら、重たそうなまるい月が山の端へ落ちてゆきました…
(スーパームーンは2月20日)

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スーパームーン(2015年)*Super Moon*snowdrop撮影*短歌とは無関係です


ときどきは耳を澄ますこと月に射されたままからだ   勺 禰子

sometimes
straining my ears
on a pass
still with the body
bathed in the moonlight
― Shaku Neko, tr.by Yukiko Kawakami


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今月号の『角川短歌』の「短歌のさじ加減」でも取り上げられた
禰子さん(しゃく ねこ)さんの歌集『月に射されたままのからだで』。
2017
年の夏、勺さんのブログ( 🐈)で拝見して以来
サインを頂きたいと願ってきました。先日勇気を出して願いをかなえました。

Here is the first collection of tanka composed by Shaku Neko,
Still With the Body Bathed in the Moonlight
and a tanka-magazine, one of whose articles refers to her tanka.



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勺 禰子さんと会ひて
リュックよりさらりと出せる筆ペンは歌人の矢立の流れをぞ引く 


恋文ペン字で *「シャッポン(帽子)」はわが祖母の造語?

シャッポンをななめにかぶるウタビトは万智チヤンみたいなボブカット・ヘア

a tanka-poet
cocking her chapeau
was charming,
with bobbed hair
like that of Machi-chan

→ Tawara Machi(wiki)


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主菓子「梅の窓」(菊屋、大和郡山市)
撥鏤(ばちる)菓子切(守田 蔵作 🌸
🌸『古事記』をテーマにした創作も…

勺さんが所属しておられる短歌結社の機関誌『短歌人』
二月号の表紙は
です。如月から弥生の窓辺で味読しましょう。
主菓子「の窓」に入った筋は、大和郡山市の町家の格子窓を思わせます。

The tanka association which Shaku-san belongs to
publishes the above magazine (Februray 2019 Issue).
Do you recognize the
plum blossoms on the front cover ?
A Japanese cake in the shape of
plum blossoms by a window
reminds me of a window of a traditional townhouse in Nara.



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町家の窓*Former residence of Kawamoto family in the ex-red light district (2016)


勺さんの眼を通して歌われた関西は、古代史に連なりつつ

いま、ここの現代をも生き生きと映し出しています。

Kansai district in hertanka reflects vividly the contemporary life
while leading to the ancient history.




今はむかし国際港と思ほえばコスモスクエアといふ名をば肯ふ   勺 禰子



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梅二輪(コンデジ内蔵の魚眼レンズで加工)


関西方言の短歌もあります。

It is difficult for me to translate our tanka in Kansai dialect



「カーネーション」2011年秋、朝の連続テレビ小説

言うちゃるわ、早よ寝り、食べり、行っちょいで。
糸子の母は祖母の面影   
勺 禰子



2016年夏、祖母の追憶
枝豆をみしってきちょうと渡されし手籠に勇みき
幼ごころは  snowdrop


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農林会館(大阪)(2016年)* snowdropの祖母もよくミシンを使っていました

「カーネーション」の周防龍一(綾野剛) ミシンをしょっています (google search)

関連画像




キーボードに引き裂かれゐし子音母音なつかしみつつ

君の名を呼ぶ   勺 禰子


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snowdropは高校時代、英文タイプライターに挫折しました。

大学時代にワープロが登場。さて、ローマ字入力か仮名入力か?
迷った末、外国語にも応用のきくローマ字入力を選びましたが
子音と母音をたえず引き裂いている罪悪感はいまも拭えません。
新仮名遣いで痛めつけられた日本語を、さらに鞭打っている気がして。
けれども、慣れとは恐ろしいもの。
今や鉛筆を握るよりキーボードを叩く方がするする歌が生まれるのです。
ピアノのように両手を使うと、左右両脳が刺激されるからでしょうか?
果たしてこのままでいいのか … 言霊が弱まったりしないでしょうか?

I once gave up typing in English during high school.

Then the word processor appeared when I was at university.
I have chosen Roman letter input rather than Japanese one
because I can apply it to foreign languages also.
But according to Shaku-san's tanka, the Roman letter input
tears Japanese into the vowel and consonant !
To tell the truth, I can compose tanka more smoothly
with PC than with a pen, like playing the piano with both hands!
Will typing in English weaken the spirit of Japanese language ?!


東大寺境内の黄葉と月の歌の栞(90年代)

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挿画 山本じん 銀筆「淤能碁呂島」『絵本古事記 よみがえり―イザナギとイザナミ』


(ぎん)(ねづ)の光をまとふ本えたりスーパームーンのふくらむ午後に



ドレ筆の『神曲』めきたる銀筆の
『古事記』にうねる(かづら)の言霊


ドレによるダンテ『神曲』の挿画(
google search)


「illustration of La Divina Commedia by G. Doré.」の画像検索結果


The above silver cover illustrating A Record of Ancient Matters
reminds me of the illustration of La Divina Commedia by G. Doré.


(All Rights Reserved)









エジプトで食べたナツメヤシより大きいと思ったら…中に種が入っていました!

These dates are bigger than those we ate in Egypt because of the seeds.


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昭和のわが家で、昭和のフォークでいただきます!
NIKKEI STYLE(神戸モスクと神戸カトリック教会)
Kobe Muslim Mosque and Kobe Chuoh Catholique Church


バイブルで読みかじりたる棗椰子(ナツメヤシ)かじれば かをる埃及(エジプト)の風

the date
I have read in Bible,
which I eat today
which reminds me of
the wind of Egypt in 2010



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モスクのお向かいにはハラル・ショップがありました。
イスラム教で許された食品だけを扱っています。(緑のハラル認証マーク付き↑)
冷蔵庫に入ったお肉は骨付きの牛肉や鶏や羊だけ。豚は禁じられています。

There is a halal food shop right across the street from the mosque.
I saw a refrigerator with beef on the bone, chicken, mutton only.


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お酒もタブー、お茶を置いていました。↑
中国製らしき薄口しょう油が並んでいます。↓
写真はありませんが、いろんな種類の袋入りの香辛料も。

The alcohol as well as pork is not allowed.
There are tea, Chinese soy sauce, various spices, etc.


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アフリカのクスクスや、ギリシアのブドウの葉で包んだドルマ↓
イスラエルのひよこ豆コロッケ、ファラフェルも見かけました。

African couscous, Greek dolma,
and the falafel of the Middle East…


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チキンカレーやチキンのパスタソース
↓ハラル塩ラーメンなんてあります!

Chicken curry, Chicken pasta sauce,
and Halal ramen, Chinese-style noodles !


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ハラル認証マーク入り↑ * halal certification


 ヒジャーブを着けた店員さんが「なんでも聞いてね」とにっこり。
インドネシアから来日したのだそうです。
そういえば、奈良の電車で出会った家族もインドネシア出身でした。

A friendly clerk with hijab smiled and said to me, "Ask anything!"
She was from Indonesia, like a family I had met in a train in Nara.



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(2018年の汽車詠11首から → 🚃

灰色のヒジャーブ着けし赤さんは女の子なのと聞くまでもなく

赤さんの額の髪をくりかへしヒジャブの奥へ入れる母の手

皮つきのバナナのおしやぶり選びしは生後八月の真黒のひとみ 🍌

a dummy
in the shape of a peeled banana
it was the baby herself
who had chosen it
with black eyes of eight months old

(The baby with hijab was needless to say a girl!)


「ロクム オスマン帝国外伝」の画像検索結果

「オスマン帝国外伝」にも出てくるお菓子、ロクム
Turkish delight, locum in The Magnificent Century

(google search)

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「エミリ・ディキンソン」の画像検索結果「式子内親王」の画像検索結果google search


エミリと式子、国も時代も遠く離れた詩人と歌人が
うた合せをしたなら…(お題は「虫」)

Further in Summer than the Birds Emily Dickinson


Further in Summer than the Birds
Pathetic from the Grass
A minor Nation celebrates
It's unobtrusive Mass.

No Ordinance be seen
So gradual the Grace
A pensive Custom it becomes
Enlarging Loneliness.

Antiquest felt at Noon
When August is burning low
Arise this spectral Canticle
Repose to typify

Remit as yet no Grace
No Furrow on the Glow
Yet a Druidic Difference
Enhances Nature now

鳥たちよりもさらに夏遅く  エミリ・ディキンソン

鳥たちよりもさらに夏遅く
草むらのかげで悲しげに
ちっちゃな群れが挙行する
人目につかぬミサを。

(…)

八月が燃えつきようとする頃
真昼というのにたいそう古めかしく
この幽霊のような聖歌はわき上がり
寂滅を表象する

恩寵はまだ取り消されたわけではなく
輝きにはさしていない
(…)

(亀井俊介の訳から一部を引用)(『対訳 ディキンソン詩集』岩波文庫)



アマーストの秋(O.H.ヒッチコック)(wikipedia)
Autumnal Scenery, lithograph after Orra White Hitchcock


引用部分の最終行で「」と訳されたのは ”Furrow” という単語です。
訳注によれば、furrowとは「畝と畝の間の溝」という意味だとか。
畝の影を光と対照させる感性は型にとらわれず、こまやかです。
この畝にひそんでいるのは、ちっちゃな群れをなすこおろぎです。

"Furrow" means the shadow contrasted with the Glow.
In these furrows live and sing a minor Nation, the cricket.



cricket and
pine cricket




跡もなき庭の浅茅にむすぼほれ露の底なる松虫のこゑ 式子内親王

entangled
in the cogon grass leaves
in the garden without tracks,
in the bottom of the dews
a pine cricket's cry

(Princess Shikishi, tr. by snowdrop)

人の足跡もない庭に茂る浅茅の露の底から
ほろほろとたちのぼる松虫の声…
まつむしはすでに誰をまつことも諦めたかのよう。
詩よりずっと短い和歌の半ばを草の描写が占め
ただか細い声が聞こえてくるばかり。

"Matsumushi (pine cricket)" implies "matsu (wait) ".
While Emily simply depicts "from grass",
Shikishi "entangled in the cogon grass leaves".
The latter's grass encloses the insect.




式子内親王が蜘蛛に咬まれる歌物語を作ったことがあります。
(snowdropのフィクションです)

いっぽう、エミリにも蜘蛛をうたった詩があります。



The Spider holds a Silver Ball (蜘蛛が銀の玉をかかえている)
In unperceived Hands –(目には見えない手で – )
And dancing softly to Himself(そして、そっと一人踊りながら)
His Yarn of Pearl – unwinds – (…)(真珠の糸を繰り出す) (…)

(the first stanza of a poem by Emily Dickinson, tr. by snowdrop)


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(2017年撮影)


華厳経では、微塵のなかに世界がすべて含まれていると説きます。
毘盧遮那仏が帝釈天につくらせた宝網である因陀羅網においては、
「結び目にある珠玉が互いを映し合い、映った珠がまた映し合うという
無限の関係によって、華厳の無尽が説明される」のだとか。
宮沢賢治の「インドラの網」がこれに当たります。
英語では、これをパール・ネットワークと呼ぶそうです (2015年記)。

Avatamska sutra explains that a monado includes whole world.

Indra's net (the net made by Indra by orders of
Vairocana Buddha
to which Miyazawa Kenji refferred) has a multifaceted jewel at each vertex,
and each jewel is reflected in all of the other jewels.
This image shows the infinite world of
Avatamska sutra,
which is called “Pearl network” in English.



(2017年撮影)

 

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空高み真珠(まだま)のやうな白雪は見えぬ糸もて繰り出されくる

Heaven unwinds his yarn of pearl-snow (inspired by Emily)




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Trois Petits Flocons(left)*Neige par Nakatani Ukichiro(right)


(All Rights Reserved)







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初雪ね ささやきかはす 水仙花 

the first snow
whispering each other
narcissus


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ドビュッシー*雪は踊っている






ちひさき鳥を教へてくれるものは雪 こゑもすがたも白にうもれて 

birds,
is taught by the snow
hidden in the white
their songs and wings
all the more I miss
(inspired by Emily's poem)

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Emily by Michael Bedard, pictures by Barbara Cooney


山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水  式子内親王

deep in mountains
where spring seems to be far behind
on the pine door
snow melting water falls
drop by drop。。。
(Princess Shikishi, tr. by snowdrop)

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白百合 * lilium alb.

『エミリー』(マイケル・ビダード著、掛川添子訳、バーバラ・クーニー絵)


この絵本には、エミリの詩がエミリ自身の文字で引用されています。

A picture book Emily cites her poem with her own handwriting. 


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掛川添子さんが訳した、マイケル・ビダードの本文もすてきです。日本には

エミリの詩に魅せられ、美しい品々に生まれ変わらせている人たちもいます。

Michael Bedard, inspired by Emily and her house, he writes: "What is poetry? (…) Listen to Mother play [the piano]. She practices and practices a piece, and sometimes a magic happens and it seems the music starts to breathe. It sends a shiver through you. You can't explain it, really; it's a mystery. Well, when words do that, we call it poetry. " ([…] by snowdrop)
There are Japanese also who are inspired by Emily's poems to create beautiful things.


展覧会「永遠の旋律」は去年終了しましたが…(Exhibition in 2018)



海の果てのやまとの友に囲まれてエミリの部屋は光さんさん

surrounded
by Japanese followers
beyond the ocean,
Emily's solitary room
should be filled with sunlight


エミリの部屋(アメリカ)は博物館になっています。→🏠

「emily dickinson  museum room desk」の画像検索結果
Emily Dickinson Museum → 🏠 


ふるき椅子と白き十字の聴き入るは詩人をめぐる永遠の旋律

antique chairs, white crosses
and beautiful accessories
are listening to dateless melodies
for and from Emily Dickinson

展覧会(東京)の写真(by haruchonnsさん)から生まれた歌です


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