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オルガン・レクチャー・コンサート(organ lecture concert)

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おとぎの国めいたこの建物、LICはびきのホールMです。
ここにスイス製のパイプオルガンがあるのだとか。
ランチコンサートも気軽に楽しめる、恵まれた街ですね~✨
この日は千里山の教会のオルガニストに連れられて、
冨田一樹さんのレクチャーコンサートに来ました。

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タイトルは「J.S.バッハ―偽作か真作か?~妖しくも素敵な旋律たち~」
なかなか魅惑的なタイトルですね。
美術の世界にも通じる真贋論争、音楽界ではどのようになっているのでしょう。

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プログラムを兼ねた小冊子が入口で手渡されました。
開くと、音大の講義もかくやという様な本格的な資料です。
バッハの自筆譜の健やかな力強さ!オリジナルならではです。
今回興味深かったのは、弟子や孫弟子らによる写譜の数々。
小冊子からチラ見せいたしますね。

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教会旋法にもとづくドリア式記譜法では、
たとえばニ短調だと♭がありません。
この記譜法が使われていれば、古い時期の作と推測できます。
また、J.S.バッハの署名があっても真作とは限りません。
これは古美術品の落款印章や署名などと同じ事情ですね。
名の通った作者の作品にしておく方が市場価値が高くなります。

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ひるがえって、ケンプのピアノ版でお馴染みの「甘き喜びのうちに」は
プレラーの写本では「Bach」とのみ(バッハ一族の誰か不明)ありますが
再発見されたのノイマイスターによる写本では、J.M.バッハとあります。
J.S.バッハの父の従兄弟で、先妻の父にも当たるオルガニストだとか。
ややこしや~。

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作曲者の手がかりは写譜法や署名だけではありません。
作品の統一感やバランス、和声、即興性などが他作品と比較されます。
美術作品も、第一次資料は文字資料ではなく作風や審美的価値であり、
基準作品との比較が重要になります。ただし、
前例がないから贋作とするのは、AI的発想だとsnowdropは考えます。
前日までの己を超えた所に傑作が生まれるのではないでしょうか。
自己模倣と縮小再生産の先に、清新な未来は開けません。

ヴィルヘルム・ケンプ(左)千里山基督教会所蔵の楽譜(右)
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有名な「トッカータとフーガ」ニ短調BWV565、その独特の作風をsnowdropは
バッハのシュトルム・ウント・ドラング(疾風怒濤時代)の先駆と思っていました。


バッハにも熱き血しほの季節ありトッカータとフーガニ短調など

J.S.Bach also
had passionate young days
with boiling blood
for example, an organ piece
Toccata and Fugue in D minor




それが、弟子筋のドレッツェルの作風と近いと位置づけられたり、
冒頭の平行オクターブが疑問視されたり、さまざまに議論されてきたのですね。
冨田氏はJ.S.バッハの鍵盤作品から平行オクターブの例を挙げて反証しています。
snowdropも、チェンバロ協奏曲第1番の冒頭のユニゾンを想起しました。↑


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デンマーク王立劇場と奈良県立文化会館で観た「白鳥の湖」


けれども、このニ短調作品に独特の妖しい魅力があるのは事実です。
いうなれば、デモーニッシュ。
チェンバロ協奏曲第1番ニ短調(動画)もそんな香りがあります。
トリオ・ソナタが白鳥ならば、トッカータとフーガニ短調は黒鳥のよう。
神にすべてを委ねているかのような他のオルガン曲に対し、
この曲は弾く者に全能感を与え、誘惑するのです。


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千里山基督教会の足鍵盤で踏むD音



ビッグバンを爪先で踏み堪(こら)へ抜けオルガンペダルの重低音を



下方のプロジェクターによって、演奏を横方からも鑑賞できます
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この日、富田氏の生演奏を初めて聴きました。
プログラムの曲目に限らず、レクチャーの合間の試弾ですら
全くゆるみなく正確で、安定感があり、じつに端整でした。
ただ、トッカータとフーガニ短調BWV565を弾く時にのみ
旋律や装飾音に妖しいゆらぎを感じました。
まさにこのレクチャーのタイトルそのままに。
この曲に魅せられた者は、黒鳥を白鳥と信じてしまったのでしょうか。
snowdropこと、くろゆきこもまた。

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ロビーの椅子と保護色?(オルガンの師による撮影)

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