
映画「めぐり逢う朝」の一場面です。
弟子入り志願の青年が現れました。
(音楽家の名前をクリックすると、説明が出ます)

青年は家に入る前に、草の葉で靴を拭っていました。
土の道で埃だらけになっていたのでしょう。
自己紹介には「家業の靴屋が嫌になって飛び出した」とありましたが
靴に気を遣うところがいかにも靴屋の息子です。

宮廷音楽家になった青年は、かつらをかぶり洒落た服装に。ヒールの高いリボン付きの靴にご注目ください!太陽王ルイ14世の舞踏靴を思わせる華やかさです。

職場では赤いタイツに白い靴、もう少し下から撮影してほしかったですねえ。
右手に持っているのは指揮棒の前身のステッキです。
リュリのように指揮に熱中して、足の甲を刺し貫いたりしませんように。

出世して恰幅が良くなりました。靴屋の出自は記憶の彼方に?
けれども、靴のリボンが伏線になって、映画は衝撃の展開を…
老いの兆したマラン・マレ。白髪交じりの鬘があるのでしょうか?
ヴィオールの渦巻き(獣面)に金箔を押しているのが豪華ですね。
壮年の師、サント・コロンブの渦巻き(人面)は木製でした。
この人面と語らうように、音楽室にひとり籠って演奏していると
亡き妻の幻が現れたのでした。
卓上にはいつも巻き菓子と葡萄酒が
聖餐のウエハースとワインのように置かれていました。
瓶には布栓。コルク栓が広まるのはサント・コロンブ没後の
18世紀に入ってからです。

映画のなかの画中画
コクリコと桜桃の朱のひびき合ひ銀幕もまた画布でありけり
l' harmonie
de vermillion de
coquelicots et cerises
l'écran aussi
est une toile
マラン・マレの傍らにも葡萄酒のボトルとお菓子 ↑
小さかった娘たちが大人になり、マラン・マレと恋に落ちる頃
妻の幻は現れなくなります。けれども、
妻の声はいつもヴィオールの響きに聞かれたことでしょう。
思いつくままにお喋りしてしまいました。
映画とFM「古楽の楽しみ」のサント・コロンブ週を偲びつつ
♪(← サント・コロンブ作曲「涙もろい人:Le Pleureux)
アンネ・フランク(2018年)
雨あがりしづくきらめく薔薇の庭なみだとみゆる吾は泣き虫
après la pluie
le jardin de roses
avec gouttes d'eau,
qui me semble des larmes
je suis une pleureuse
ピエール・ドゥ・ロンサール(2018年)
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