トリコローレの桜パン (focaccia with salted cherry blossoms)

桜(楊貴妃、普賢象、御衣黄)の塩漬けを載せてフォカッチャを焼くからおいで、とお誘いを受けました。到着時間に合わせて発酵させた、できたてほやほやのパン生地と先月摘んで塩水に浸けたばかりの桜とが供されます。どんどん開いてゆく今年の花を追いかけて、月の夜に摘んだ
六分咲きの花は、漬けられてなお色と形を保っています。
楊貴妃・普賢象・御衣黄(2010年代撮影)



ぼちゃぼちゃのパン生地を成形し、フォークで穴を開け、そこに桜の茎を差し込みます。和菓子でも、成形と飾りつけは一番わくわくする工程ですね!イタリアの三色旗のように並べてみました💚♡💗

油紙を敷いたダッチオーブンにパンを入れて
エキストラ・バージン・オリーブオイルをたっぷり回しかけ
ふんわりと焼きます。

その間に、畑の牡丹株の最後の一輪が摘み取られました。その名も「白王獅子」。牡丹を愛した歌人、木下利玄が思われます。白王子と呼びたくなるような、貴なる歌人でした。

中国の牡丹茶は芽芯や葉を煮出すそうですが、この農園では、生の花をまるごと用いるのです。中国のエンペラーが見たら何と言うでしょう?

大江山の鬼のごとくに首打たれ牡丹は茎の髄をさらせり

熱湯を注ぐと、たちまち淡黄の水(すい)色が現れました。見た目は台湾でもとめた花の中国茶と似ていますが…(2010年代撮影 ↓)

人工の香料を利かせ、乾燥させた花茶と違ってこの生花茶は天然の馥郁たる香りを放ちます。あたたかな、ほのかに甘い香り。れんげに掬って口に含めば、汁にはとろみと微かな塩味(えんみ)が…お茶というより、スープのよう。中国語の「淡嚢(たんこう)※」に当たるでしょうか?(※小津夜景『ロゴスと巻貝』166頁)

たまきはる牡丹のさいごの一輪のエキスを貰ふ 人の身ぬちに
extract of the last peony's lifeis givento our bodies,to our internal organs

蘂の中心の、雌蕊の形をとっくりご覧ください(上)。平安時代、お菓子は唐果子(からくだもの)と呼ばれました。それを再現した京都の和菓子(下)と似ていませんか。大河ドラマ「平清盛」で、父忠盛も頬ばっていましたっけ。
胡麻油で揚げた小麦粉の生地に、香り高い餡が入っています。
「清浄歓喜団」(2016年撮影)

空海の膝でまどろむぼうたんも唐果子も唐より来たる
日本の遣唐使船復元模型(Model of Ship of Envoy to the Tang)『大唐長安展』
牡丹の羹(あつもの)に続いて、桜のフォカッチャが出来上がりました。
良質のオリーブオイルの香りのお焦げ、ここが好きなんですよ。
『こげぱん』という絵本もありましたっけ。私は、こげぱん派。
(google search)
先ほど畑で摘んだ生の空豆も頂きます!
柔らかくて甘くて、みずみずしいです~
イタリア人が生の豆を食べると聞いて、真似してみたかったんです。
豆好きの念願を叶えていただきました。
ましろなる真綿を敷きし揺りかごにさみどりの豆六つまどろむ
焼き色がついても、花の色の違いがよく分かります。
入刀のミッションを仰せつかり、
三色の花が各ピースに含まれるよう切り分けました。

中華&イタリアンのマリアージュ武蔵野台地の華燭の宴
きんとんのような雄蕊(右)
躑躅のきんとん(2016年)
あつものを飲み干したら、白い花弁のお浸しを頂きます。甘くないガリのような食感です。雄蘂はきんとんに似ていますね!味見したくなりましたが、ご亭主に止められました。どくいり きけん たべたら 死ぬで?(違
くろゆきこ、毒薬調合中?
乾燥させた今年の柿若葉を乾煎りし、薬研ですり潰します。
香ばしさが立ちのぼります。
薬より滋養になりそう!優しい水色(すいしょく)のお茶が入りました。
志野焼 銘「雪まろばし」
ご亭主手製の旅茶碗に柿茶を移し、畑で野点気分を満喫 ☕

旅先のをみなの紅を残せるや雪まろばしの茶碗の縁に

ゆきまろの小さき手には収まらぬ雪まろばしとふ旅の茶碗は
おまけ*土佐派による源氏絵の「雪まろばし」の場面

雪をころがして遊んでいるのは童女。今日は子供の日です。
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