桜花爛漫の候…(season of cherry blossom in full bloom)
浄瑠璃寺の桜(3月27日)
ながむれば思ひやるべき方ぞなき春のかぎりの夕暮の空
式子内親王 (千載和歌集)
ゆふぐれの手紙に落つる金いろの夕日のしづく封蝋として snowdrop
a golden drop
of the setting sun
it's
a sealing-wax-shaped seal
on my violet letter
街で見つけた封蝋のかたちのシール。
手軽にお洒落に手紙の封ができます。
それに引きかえ、昔は
封蝋を施すのはこんなに大変でした。
オスマン帝国の皇帝のお手元を拝見!
ろうそくの炎で蜜蝋を溶かし、巻紙に押し付けます。
皇帝のピンキーリングは装身具であるとともに封蝋のサインとしても用いられました。
手紙は筒型の容器に入れられ、配達されます。
今日の手紙はイスタンブール郊外の小さなお家へ…
ご主人は不在のようです。
中華饅頭みたいなターバンが小卓に残っていますね。
たくさんの書物、巻紙…
長老さまのお家です。
先程まで広げられていた豪華な装丁本の傍らに
書簡の入った筒型容器がそっと置かれました。
スルタン(皇帝)の机(下)と比べてみましょう。
ターコイズをあしらった文房具が目を引きます。
豪華な文房具は中国の紫禁城にも見られましたっけ。
ペイズリー柄の衣をまとった皇帝が戻ってきました。
筒から手紙を取り出し…
親指に嵌めていた指輪で封蝋を破ります。
ちょっとした伝言は封蝋を施さず、
紐で結んで、じかに手渡しします。
筒にも入れません。
ぽっちゃり白い手ですね。若い皇子の手です。
恋文でしょうか?
広げられた巻紙、流麗な筆文字…
平安時代の文(ふみ)を思わせます。
こちらは手紙を容器に入れるのではなく、
季節の花木の枝に紙を結びつけます。
桃の花枝なら、桃色の紙。
拝啓、桜花爛漫の候…なんて書き出しは
こんな習慣から生まれたのでしょうか。
(google search)
手紙を開いて読み耽っていたら、背後から妻の手が…
浮気相手の文なら許さないから!『源氏物語絵巻』(既出画像)
桜だよりのころ文房具店に並ぶ桜のレターセットは
平安の文付枝(枝折文)の末裔といえるでしょうか。
ハイセンスな恋文の演出法を高校生の私に教えてくれた本。
尾崎左永子の歌集を手に取ったのはずっと先のことでした。
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