snowdropの翻訳書(右)(共訳)とポンペイ展図録(2016年)
Prolegomena to the Study of Roman Art by Otto Brendel,
tr. by Shigebumi Tsuji, Rui Nakamura, and snowdrop (right)
かつて翻訳した本の図版(左)の実物を展覧会で見ました(右)
「よみがえるポンペイ」というテレビ特集番組、
怖がりのsnowdropはいったん見送ったのですが
こんな短歌を読んだら見てみたくなりました。
スマホを握って寝落ちした夫と、ポンペイとの間の一字空けが
時空の隔たりを感じさせます。
左手にスマホを握りしめたまま寝てゐる夫 ここポンペイか 桐江襟子
(「短歌人」2022年9月号)
The TV program "The last day of Pompeii" was produced by
Gedeon Programmes/France Televisions and NHK in 2019.

Carmiano Villa rustica, Triclinio
L' Arte del Convito nella Roma Antica by Eugenia Salza Prina Ricotti
番組を見ていると、2016年のポンペイ展の図録や書棚のポンペイの本も読み返したくなってきます。2022年のポンペイ展はこちら → ★
Here is the exhibition in 2022 → ★
食堂の再現映像 (クリックで拡大します)Reenactment of Triclinium(click to enlarge)
ポンペイの邸宅の再現映像に目が釘付け!
トリクリニウム(食堂)には寝椅子が三つ、食卓には果物やワインの杯。壁には神話の場面や女主人の肖像がフレスコで描かれ、竿秤が置かれています。
The reenactment of a house in Pompeii attracted my eyes.Triclinium (dining room) has three couches, cushions, lever scales, etc.Fresco paintings represent scenes from myths or the hostess' portraits.

「この館は息子のユリウスが改装してくれたんだ」
副音声に耳がダンボになりました。
「ユリウス・メウス(わしのユリウス)」
古代ローマ人ですから、ラテン語で話しています。
フランスのブロ友たちも或る日、ラテン語で挨拶していましたっけ。
People in TV are talking in Latin, for example, "Julius meus…".
I remember my blog-friends in France and England
who greeted one day in Latin, for example, ”Ave Dominice” !

ポルティコ(柱廊)の再現映像、中庭にオレンジ、あるいはレモンの木が見えます ↑イタリアやスペインでは、観賞用のオレンジの街路樹や庭木をよく見かけました。黄金色の果実は、じつは苦くて食べられないのですが…古代ローマのリヴィアの家の壁画にも、果樹がたくさん描かれていました。
An orange or lemon tree is found in the garden beside the portico (peristyle).I remember the fruit trees in the wall paintings of Villa di Livia in Rome.
Villa di Livia(wikipedia)
再現されたポンペイの屋敷の正面は、後世のイタリアの教会のファサードを思わせます。
The reenactment of a house building in Pompeii.
現在はこんな姿に… (The actual state)

ポンペイ最後の日に時計の針を戻しましょう。
女主人は屋敷の外へ、朝のパンを買いに来ています。
パン売りの男の「パネム」というラテン語が聞き取れました。「パニス」(パン、食糧)という男性名詞の目的格です。「パネム・エト・キルケンセス」(パンとサーカス)のパネムです。
The hostess buys breads from a man.He sells Roman breads, panem (<panis).A well-known phrase is "Panem et Circenses".
これは種ありパン?
ところで、『失われた時を求めて』には物売りがたくさん登場します。たとえばアルティショ(アンティチョーク)売りの声。柔らこいよ、青いよ、柔らこい きれえなアルティショ、アルティ…ショオ、À la tendresse, à la verduresse
Artichauts tendres et beaux
Arti… chauts, ― La Prisonnière, RTP par Proust
↓アンティチョーク(artichaut)

『古代ポンペイの日常生活』の挿図では
選挙の候補者の名前の落書きをたくさん見ました。テレビカメラが映したこの文字は誰の名前?ラテン文字にギリシア文字のΛ(ラムダ)などが交ざっています。まるで漢字交じりの変体がな!
Whose name is this inscription?

L E P O Λ i s

レポリス(ギリシア語・ラテン語で「兎ちゃん」)は女性の名前。
きれいな横顔ですね。
The inscription "Lepolis" is a woman's name in Greek and Latin,which means "a little hare". Beautiful profile like below Menade !
踊るマイナス(部分) Menade in volo(detail), Pomepi, Casa del Naviglio
タンバリンをもつマイナス(バッカスの女信者)の麗しいこと!
(マイナスは英語でメナード、メナード化粧品の名前の由来です)画家は「兎ちゃん」のような女性の面影を写したのでしょうか。キリスト教は、こんな豊かな古代の暮らしと宗教に、
復活という教え一つで立ち向かったのですね。
These frescos were painted in the middle of the first century,
a little later than the Ascension of Jesus Christ.
He and his believers confronted such rich lives and religion
with only one doctrine, the Resurrection.
犬のシンクレトゥス(画中に名前が記されています↑)
吾輩は犬なりその名もシンクレトゥスわんこのシンと吾(あ)を呼びたまへ(2016年詠)
Io sono un cane, SINCLETUS.
Mi chiami cagnolino Sin, per favore!
フェニックスと二羽のクジャク*Fenice e due pavoni, Pompei, Casa e Caupona di Euxinus
ガルス・ガルス・ドメスティカスは鳴き終えて総理屋の扉いまだ開かず 光本博
(「短歌人」2022年10月号)
おまけ*古代ローマの兎のモザイク
Bonus*lepolis(pinterest)
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