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活用形のおはなし(on the conjugation)

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「モーツァルトの電話帳」より ’な行’ の章(『永井陽子全歌集』) NIKKEI The STYLE


モーツァルトの電話帳にまぎれをる直立不動のペンギン数羽  snowdrop

(’ぬ’ と ’ね’ の間にふしぎなマークが…)


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永井陽子の全歌集をもとめ三月書房へ出かけたのは初夏のこと。
ちょうど品切れになったばかりでした。
そこで、図書館から借りて、手で写すことにしました。
二年ぶりにぶりかえしてきた右腕のだるさをなだめつつ(!)…

I went to March Publishing in Kyoto in May, but
Complete Works of Nagai Yoko had been sold out.
I borrowed it from the library and have made a copy by hand.


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‘は’と‘ほ’と‘な’の
ふふむくるりん輪のかたち
描きわけつつ歌集を写す
snowdrop



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「ふしぎな楽器」の巻頭に、snowdropがイタリア語訳したことのある一首が…


海のむかうにさくらは咲くや春の夜のフィガロよフィガロさびしいフィガロ 永井陽子

i ciliegi
sono fioriti all' estero ?
Figaro, Figaro,
ah Figaro malinconico
della serata di primavera !

― NAGAI Yoko, traduzione di snowdrop(2018)




モーツァルト「フィガロの結婚」(ダイジェスト)


次の短歌は、永井陽子さんの作品のなかで最もよく知られる歌の一つです。
古語の助動詞「べし」の活用を並べたら、こんな不思議なひびきが生まれました!
永井陽子さんは ’ふしぎな楽器’ のような、天性の歌びとでした。

There is a tanka on the conjugation in the book,
which is one of her most famous tanka.


べくべからべきべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊
永井陽子



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の絵



活用形は洋の東西を問わず、子供たちを悩ませてきました。
チャーチル少年はラテン語の呼格でつまづいたとか。
mensa(卓)という名詞はこんなふうに変化します。
mensa, mensae, mensae, mensam, mensa mensa
(卓が、卓の、卓に、卓を、卓によって、卓よ
テーブルに向って「卓よ」と呼びかける機会が生涯に訪れるだろうか?!
少年は納得がゆかず、勉強に身が入らなかったとか。
(逸身喜一郎『ラテン語のはなし』)

It is said that Sir Winston Leonard Spencer-Churchill in his school days
could not accept to call a table, an inanimate object, "mensa! " in Latin class.「ハドリアヌス  市村」の画像検索結果
「テルマエ・ロマエ」に出てくるハドリアヌス帝
髭を生やすのはギリシアに憧れていたからです♡


せめて「魂」が活用の例に挙げられていればよかったのに!
ハドリアヌス帝の詩は、ちさき魂への呼びかけで始まります。
「さまよえる いとおしき魂よ
汝(な)が客なりしわが肉体の伴侶よ
汝(なんじ)はいまこそ辿り着かんとする
青ざめ こわばり 露わなるあの場所に
昔日の戯れも もはやかなわで…」
(多田智満子による大意。snowdropの強調)

If the textbook had used not "mensa" but "anima" as an example !
Hadrian's famous poem starts with calling to his own small anima.
“Animula vagula, blandula
Hospes comesque corporis,
Quoe nunc abibis in loca
Pallidula, rigida, nudula,
Nec, ut soles, dabis iocos....”



「hadrian yourcenar」の画像検索結果
皇帝の愛した少年アンティノウス
(amazon)


ハドリアヌスは一人の美少年を愛しました。
けれども少年はナイルのほとりでワニに襲われ落命しました。
皇帝は自らの死を迎えるとき、少年の面影を偲んだでしょうか。
少年は白いアガパンサスに似ていたかもしれません。
アガパンサスはギリシア語で「愛の花」、またの名は「ナイルの百合」です。

Hadrian loved a boy, who was attacked by a crocodile of the Nile and died.
Did he resemble a white agapanthus (flower of love, lily of the Nile) ?


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アガパンサス(ナイルの百合)*αγάπη+άνθος =αγάπανθος

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