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エミリと式子 上(two poets1)

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この絵本の主人公は、隣人エミリ(・ディキンソン)を訪ねる少女です。
The heroine visits Emily(Dickinson), her mysterious neighbour.





エミリ・ディキンソン
の詩から生まれた旋律Melody)をどうぞ。歌詞も添えました


Nature -The Gentlest Mother (自然 - もっとも優しき母)  
Twelve poems of Emily Dickinson (エミリ・ディキンソンの12の詩)
music by Aaron Copland (1900-1990)(コープランド作曲)

Nature - the Gentlest Mother,(自然 - もっとも優しき母は)
Impatient of no Child - (どんな子にも忍耐強い -)
The feeblest - or the waywardest -(ひどくか弱い、-或いは強情な子でも –)
Her Admonition mild -(穏やかに諭して聞かせる -)
In Forest - and the Hill -(森で – 丘で -)
By Traveler - is heard -(旅人は聞くだろう -)
Restraining Rampant Squirrel -(勝手気ままなリスや -)
Or too impetuous Bird -(気の荒い鳥を躾けている声を -)
How fair Her Conversation -(なんてフェアなお話だろう -)
A Summer Afternoon(夏の昼下がりに)
Her Household - Her Assembly -(彼女の家で - 円居で -)
And when the Sun goes down -(日が沈むときに、聞こえる -)
Her Voice among the Aisles(教会の側廊で彼女の声は)
Incite the timid prayer(臆病な祈り手を励ます)
of the minutest Cricket -(ちっちゃなコオロギや -)
The most unworthy Flower -(とるに足りない花のような -)
When all the Children sleep -(子供たちが眠りにつくと -)
She turns as long away(明かりを灯しても大丈夫なくらい)
As will suffice to light (十分に遠く)
Her lamps -(自然は身を引いて-)
Then bending from the Sky -(空から身をかがめ -)
With infinite Affection -(限りない愛情と -)
And infiniter Care -(さらに限りない心配りをもって -)
Her Golden finger on her lip -(金の指を唇に当てる -)
Wills Silence - Everywhere ?(お静かに - どこもかしこも)
tr. by snowdrop


「emily dickinson herb」の画像検索結果

エミリの植物標本から睡蓮など (pinterest) * 他の頁はこちら 🍁
Emily Dickinson's Herbarium 🍁
haruchonnsさまから教わりました。)

エミリ・ディキンソン(1830 - 1886)という詩人がいます。
『風と共に去りぬ』の舞台ともなった南北戦争前後の時代、
マサチューセッツ州アマーストの自宅からほとんど出ることなく
1800を超える詩を綴りました。
音節足らずの行とダッシュ( – )の多い詩は、沈黙と余白を感じさせます。

Emily Elizabeth Dickinson is a poet who lived the time of Gone with the Wind.
She did not leave her house and garden to compose more than 800 poems.
Their lines often lack one syllable (8 minus 1) and include many dashes,
which are filled with pauses like her own Conversation – probably.




「emily dickinson book 初版」の画像検索結果「Monotropa uniflora」の画像検索結果


エミリは自然を愛し、庭で花を摘んで押し花にしました。
東洋の私たちにもなつかしい睡蓮の花も…

haruchonnsさまによれば、
彼女の詩集の表紙にあしらわれた青白い花は、日本にもある
「アキノギンリョウソウ(秋の銀竜草)」だそうです。
🍂

She loved Nature and picked flowers in her garden including the waterlily.
Accordin to haruchonns-san,
the front cover of her book of poems is Monotropa uniflora design.
🍂
She gave us the information on Emily Dickinson's Herbarium also. 🍁


「Emily Dickinson poem portrait」の画像検索結果「式子」の画像検索結果

(google search)

ギリシア文学者の沓掛良彦は
エミリと式子内親王に通じるものを見出しています。
式子は一昨年のsnowdropの歌物語の主人公でした。
斎院として、子供時代と青春の日々を賀茂の神に捧げ、
京へ帰った後は多くの時を邸内で過ごし、歌を詠みました。
エミリの詩のように彼女の歌も、静謐と情熱を感じさせます。

Kutsukake Yoshihiko, a scholar of Greek and Latin classics,
finds the similarity between Emily Dickinson and Princess Shikishi.
I agree him.
Her waka-poems are pure and passionate as well as Emily's poems.


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「浮舟冊子」13世紀 大和文華館所蔵『古今和歌集 梁塵秘抄』朝日新聞社


式子内親王(1149-1201)とほぼ同時代の女人。筆をもつ手がはっきり描かれています。
絵本のエミリも鉛筆を握っていますね。額絵の鹿が、彼女の詩の冒頭を思い出させます。
「手負いの鹿はもっとも高く跳びます」(エミリ・ディキンソン)



Emily
and Deer illustrated by Barbara Cooney(detail)
A Wounded Deer – leaps highest – (Emily's poem)

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映画もあるそうですが…見ようかどうか迷っています。



ついでにこれも…(イタリア詩人レオパルディの映画)




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by snowdrop-momo | 2019-01-24 07:07 | Winter(冬の便り) | Comments(5)
Commented by milletti_naoko at 2019-01-25 20:17
式子内親王は、わたしはもっぱら百人一首の歌を通して知っているのですが、
びっくりするような本を、昔勧められて読んでみて、驚いて本当かなあと思ったのを、
今でもよく覚えています。林直道著の『百人一首の秘密』(https://amzn.to/2CJKGAW)
で、読んだのは20年近く前の話ですが、百人一首に名歌とは言えない、あるいは、この歌人なら
他にもっとすばらしい歌があるだろうに、なぜこの歌がというような歌が選ばれているのは、
実は、言葉のつながりを通して100首を配置することによって、定家の式子内親王への思いを
表したものなのだという内容だったかと思います。確かにそういうとらえ方もできるかもしれない
けれど、まさかそんなと当時は思ったのですが、イタリアに来てから、たとえばペトラルカの
執念とも言えるような作品の手直しや配置、ダンテの作品全体の数までよく考え込んだ神曲の
構造を知るにつけ、今はひょっとしたら、そういうこともあり得るかもしれないという気がしてきました。
ディキンソンの詩もすてきですね。確か赤毛のアンで、言葉や詩が引用されていて、いつか
読みたいとはずっと思っていたように思います。そういう本が多すぎるわたしです。
Commented by snowdrop-momo at 2019-01-26 21:22
*naokoさん
まあ、そんな本があるんですね!式子内親王のためというのが驚きです!!
じつは、数年前にそれに類する本を読んだんです。
織田正吉の『百人一首の謎』によると、百人一首は秀歌集ではなく、
承久の乱後、隠岐へ流された後鳥羽院の荒ぶる魂を
ひそかに鎮めるための連作集であったというんです!
やはり言葉のつながりから、隠された意図を明らかにする著作でした。

色んな説が生まれたのは、なぜこの歌がというような歌が選ばれているからかもしれません。
塚本邦雄という前衛歌人は、百人一首は凡作多しと断じ、選者定家と同じ人選で、全く別の百人一首を編んでいます。

ペトラルカやダンテが数字や単語によって築いた詩の大伽藍と
野心的歌人、定家の編んだ和歌の緻密な織物との比較、興味は尽きません。

ディキンソンの詩、ググってみると、アニメ「赤毛のアン」で
「小川」という詩が朗読のアンコールで選ばれていたことを知りました。
英語の字幕は原詩(Have you got a brook in your little heart…)とは少し違いますが…

https://www.youtube.com/watch?v=TasB2eQu2iE (18:55~)

モンゴメリの原作では「一風変わった滑稽な短い詩」(松本侑子訳)としか書かれていないのですが、どんな詩かなあと思っていたんです。さすが高畑監督です!
なおこさんの記憶力もすごいです!snowdropはアニメ録画を見たはずなのに全然気づきませんでした。

読書に瞑想、その舞台となる町や自然の探訪にご多忙ななおこさん、
だから素晴らしいブログが書けるんですね。
お体に気をつけて、どうぞ末長く執筆を続けてくださいね!
Commented by milletti_naoko at 2019-01-27 04:18
わたしの場合、実はむしろ、教育学部の国語科専攻で、大学で
選択した第二外国語がドイツ語だったので、今はイタリアに住んでいる
おかげで、日本やドイツ、イタリアの詩は知っているのですが、英米の詩は
悲しいほどに知識がなく、詩人の名前や詩を知っているのは、たいてい
赤毛のアンを通してなので、そんなふうに覚えていたんですよ。
古典も、中学校や高校で教える文学作品や場面を中心に知っているので、
貴ブログのおかげで、世界が広がり、不思議な類似点やつながりが分かって
とても興味深いです♪
Commented by snowdrop-momo at 2019-01-27 06:38
*naokoさん
snowdropもドイツ語が第二外国語で、
専攻は日本美術史でした。(でも、日本や中国の古典には暗いです)
英米文学とはあまり合わないのか、いまだに少し距離を感じてしまうんです。
英語タンカを作り出してから、親しみが増してはきましたが…
だから、エミリのように親近感をもてる詩人と出会うと
とても嬉しくなります。
赤毛のアンは英米文学の引用の宝庫ですね!

Commented at 2019-01-27 10:14
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